【2020.3.19 改竄熱海殺人事件ザ・ロンゲストスプリング】
ずっと行ってみたかった熱海殺人事件に行ってきました。改竄ですが。
まずは覚悟を持って上演してくださったカンパニーのみなさんに感謝。換気のために劇場のいたるところが開けられ、いつもならお客には見せないような姿を見せる劇場そのものがこの危機を示しているようでした。
本当はモンテカルロ・イリュージョンも見に行こうと思っていたのですが、今週末の自粛要請で公演がなくなり、モンテは突然の東京千秋楽に。
演劇業界頑張れ~~(´;ω;`)
熱海!!
最初、「あっちゃ~そうだ古いんだった~」というくらいもうジェンダー的にアウトな言葉が多い戯曲で、そこが気になってなかなか入ってこないところがあった。女が腐ったような~とかブスな女ほど、とか後は主語でっか!みたいなのが多くて。
じゃあ面白くなかったかというとそんなことなくて、ああこれが再演される所以か。と。(阿呆浪士みたいだね、今年はそういう芝居を見ることが多いなぁ)
むしろめっちゃおもしろかった~~~!!
まず演出のエンターテインメント性が高い。
ジャニオタの演劇やくざ達がつか演劇って好きなイメージがあって(偏見)納得~~っていう感じの見栄の切り方と音楽の使い方、セリフ回し。
冒頭のチャイコフスキーは痺れた。あれはきっと元ネタのままよね。その日の夜、爆音のチャイコフスキーの白鳥の湖の夢を見ました。中毒性あり。
役者紹介みたいに見栄切るのもかっこよかったな。プロレスみたいに割れまくった音がまたたまらん。
そして脚本。
言葉にこだわるなら今時、ジェンダーステレオタイプはNGでしょ、と思ったけどむしろそれすら「あえて」そうしているのではと言いたくなるような複雑な作り。言葉では「男は」「女なら」と男女二元論のステレオタイプを振りかざし、乱暴な論理を披露するキャラクター達が、実際に吐露するストーリーは決してステレオタイプではないし、二つに分けきれない。
男と女、地方と都市、刑事と被疑者、木村と熊田、木村と水野、あえて対称な言葉運びを使いながらそれらは決して単純な二分法ではなく、舞台上を金ちゃんと木村の立ち位置が置き換わり、立場が揺れ動くように流動的。
これぞこの芝居の面白ポイントだ~~!と。
冒頭のチャイコフスキーが、ロックテイストで、ロックなのか、クラシックなのか割り切れない。そういう面白さが随所にあって、ああ~~~~~(唸る)
あとは木村伝兵衛やばいっすね。
あれは癖になる。ちょっと好きになる。変人すぎる。
そしてあのスピード、あのセリフ回しはうまい役者じゃなきゃできないね。
たまらん~~!
戸塚くんが定期的につかテイストになってしまうのもわかるような、笑
と、いうことでなんだかんだこの珍味を好きになってしまった。
今年は没後10年でつかこうへい演劇祭がいたるところでやる予定だから、行けるだけ行こう。案外つかにハマるかもしれない。
行けるときにいって、演劇を支えたいな。こんなに有名な演目で、しかも売れっ子演出家の中屋敷さんが、話題の俳優さん使って紀伊国屋ホールがあの客の入りなのもやばい。当日券で入ったけど、私の周りの当日券席はガラガラで、電車よりも快適に広々と観劇してしまった。
まぁ個々人のオタクが頑張るというよりは、政府に頑張ってほしいものだ....。
「文化とは景気のいい時にだけ享受できるものではありません。どんな時も続けるべきものです。」とな。